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ぬいぐるみ病院プロジェクトとは?

 ぬいぐるみ病院プロジェクトはIFMSAのTeddy Bear Hospitalを基にした日本版の活動で、「子どもたちがより健康になれるよう広く働きかけ、ぬいぐるみ病院に参加した子どもたちが将来にわたって周囲も巻き込んで健康に近づけることを目指す」を未来図に全国39大学で活動しています。各大学での活動を「ぬいぐるみ病院」、それらを統括しているのが「ぬいぐるみ病院プロジェクト」です。

 ぬいぐるみ病院の活動内容は、医療への恐怖を軽減し医療に興味を持ってもらうための、ぬいぐるみを模擬患者に見立てた「ぬいぐるみ診察」、正しい健康知識を伝え子どもたちの生活に還元できるようにする「保健教育」の2つを軸に健康教育を行っています。また、ぬいぐるみ病院プロジェクトとして、ぬいぐるみ病院の実施を行っている大学間の交流、年2回の会合(ぬいぐるみ総会とぬいぐるみーてぃんぐ)の開催によるぬいぐるみ病院を実施してる学生のスキルアップ研修、月1回のSkype上で各大学の近況報告や勉強会も行っています。

 背景

 現在、糖尿病や高血圧に起因する病気など、いわゆる生活習慣病が大きな社会問題となっています。そして、悪い生活習慣が身につく前の幼児期・学童期に健康的な生活習慣を身につける事がこの問題を解決するカギとなっています。そこで、幼児・児童に焦点をおいたHealth Promotion(健康増進)や、子どもから子どもへの保健教育、保護者から子どもへの保健教育といったこと多角的なアプローチがとても大切なことであると考えられるようになりました。

 一方、医療現場では子どもからInformed Consentが十分に得られているか分からない、医療スタッフから子どもの病気や治療、検査に対する理解力を十分に把握できていないといった問題が挙げられています。これは今の医療スタッフが、子どもの病気に対する理解や考え方などを子どもから学ぶ機会にあまり恵まれていなかったためだと考えられます。この現状は、子どもが専門家から身体や健康について学ぶ最高の機会を子どもから奪うことや、子どもの病院嫌いにもつながってしまいます。

 また、今日の『死を遠ざけている社会』の中では、健康な子どもが病人の看病の場に身を置くことで養われるケアの気持ちを養っていくことが難しくなっています。

 以上のように子どもの保健教育に対するニーズやその効果への期待が高まる中、子どもに親しみやすい形で身体や健康に対する興味や、ケアの気持ちを持ってもらうと同時に、医療現場でのニーズに答えられる、心に寄り添うコミュニケーションができる医療系の学生を養うために、このプロジェクトが生まれました。

 

 目的

・子どもたちに身体や健康について興味を持ってもらい、良い生活習慣を身につけてもらう

・子どもたちに看病やケアの気持ちを養ってもらう

・知らないことから生じる医療に対する恐怖感を緩和する

・医療に興味を持ってもらう

・子どもとの正しいコミュニケーションを通してコミュニケーション能力を向上させる

・子どもたちから子どもの病気に対する理解や考え方などを学ばせてもらう

 

 期待される効果

 幼稚園、保育園に通う子どもたち、もしくは小学校低学年の子どもたちにぬいぐるみ病院の活動を通して、ヘルスプロモーションを行うことで、より良い生活習慣を身に着ける良いきっかけになるとともに、その後の教育にスムーズにつなげてゆけるという大きな効果が期待できます。同時に医療に対する恐怖を払拭し興味を持ってもらうことが期待できます。さらに、活動に参加した医療系学生は医療現場において大いに発揮されるであろう高いコミュニケーション能力と子どもに関するあらゆる知識を身につけることができます。

 プロジェクトとしてのVisionとMission

Vision

「子どもたちがより健康になれるよう広く働きかけ、ぬいぐるみ病院に参加した子どもたちが将来にわたって周囲も巻き込んで健康に近づけることを目指す」

 

Mission

・各大学のぬいぐるみ病院の問診や保健教育、勉強会のアイデアを共有できる機会を継続的に持つ。

・ぬいぐるみ病院実施者を対象に 、子どもへのアプローチに必要なことについて学ぶ機会をつくり各大学での活動に還元する。

・全国の実施大学にぬいぐるみ病院の理念を浸透させるとともに活動する大学を広げ、実施大学の運営をサポートするシステムを構築する。

・日本の子どもたちの現状を社会に知ってもらい、問題解決のためのヘルスプロモーションを行う。

・日本の子どもたちの現状を知り、ぬいぐるみ病院活動に活かす。

Teddy Bear Hospitalとは?

 Teddy Bear Hospitalは世界中の医療系学生が運営するNGO:IFMSA(国際学生連盟)の公衆衛生部門(SCOPH)のうち、子どもを対象にした健康教育活動です。世界中のたくさんの医学部で活動しており、その数は不明です。活動内容はその国に合わせて異なり非常に多様です。

 ※IFMSAについては最下項をご覧ください。

IFMSA-Japanとは?

 IFMSA-Japanの母体である、国際医学生連盟(IFMSA:International Federation of Medical Students’ Associations)は非営利・非政治の国際NGOです。第2次世界大戦後の1951年にヨーロッパで設立され、現在は本部をフランスの世界医師会内に置いています。WHO(世界保健機関)、WMA(世界医師会)を始め、様々な国際機関、UNESCOやUNICEFなどの国連機関と公式な関係を結んでいる、唯一の医学生団体です。IFMSA本部の代表は様々な会議に招かれ、世界中の医学生を代表して発言しています。2017年3月時点で、124の国と地域から132団体が加盟し、130万人以上の医学生が参加しています。

 IFMSAには、臨床交換留学、基礎研究交換留学、公衆衛生、性と生殖・AIDS、人権と平和、医学教育の6つの常設委員会があり、世界各国で様々なプロジェクトやワークショップを運営しています。医学雑誌THE LANCETでは、国際保健教育への取り組みが論文の中で大きく紹介され、論説でも触れられています。

 1961年にIFMSAに加盟した日本支部は、2000年頃に体制を一新し、名称をIFMSA-Japanとして現在に至ります。全国の医学部・医科大学のESSや医療系サークルなどの団体会員、および個人会員によって構成されています。2017年4月 現在、団体会員58校、個人会員約700名、IFMSA-Japanの中で最大の無料メーリングリストには約2000名が参加しています。

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